子どもの発達に疑問を覚える時に、
相談した機関ですすめられるのが、発達検査です。
「検査=診断名をつける」となりがちですが、子どものことを「客観的に知る」検査といえます。
また、療育センターや受給者証を利用する際は、発達検査が必要になってきます。
我が家も発達検査をいくつも受けており、現在も定期的に受けています。
この記事を読んでいる中にも、受けた経験があるという方が多いのではないでしょうか?
我が家は検査を受けてはみたものの、
✓「どんなトレーニングや療育をしたらいいの?」
✓「親ができる支援は何?」と疑問に思うことが多かったです。
結果を見ても、よくわからないが正直な答えでした。
ここでは「この評価は何を表していて、どんなトレーニングをしたらよいのか」のヒントになれるように書いています。
自宅で簡単に取り入れられる遊びやトレーニングを中心に書いています。
ぜひ、読み進めてください。
発達検査とは|受ける意義
発達検査は、子どもの心身の発達の度合いを調べる検査です。
発達検査も知能検査も
「こどもの発達支援や学習指導の方向性を決める」ヒントを得るため、が目的です。
「子どものことをより詳しく知るための検査」と捉えると良いかもしれません。
実際に、療育センターの支援計画は、発達検査の結果をもとに作られていました。
ちなみに「知能検査」(田中ビネーⅤなど)との違いは、
・「知能検査」は認知能力(物事の理解や課題解決)を中心に評価している。
・「発達検査」は運動や姿勢などの幅広い領域を評価している。
【検査できる場所・費用】
検査は臨床心理士や専門の医師で、病院や保健センターなどで実施されます。
「療育センター」でも受けることが可能でした。
費用は公的機関であれば、基本は無料。
病院などであれば、費用が異なります。
こちらは必ず確認してください。
【発達検査の種類】
・日本版デンバー式スクリーニング検査
・日本版Bayley-Ⅲ 乳幼児発達検査
新版K式の内容
適用範囲:0歳~成人
所要時間:30分~1時間程度
実施方法:1対1の個室で実施
子どもがとる行動や反応を同年齢と比較して、発達の度合いが実際の年齢よりどのくらい差があるかを評価する検査。
発達指数(DQ)で評価される
評価する領域は「姿勢・運動」(P-M)、「認知・適応」(C-A)、「言語・社会」(L-S)の3領域。
検査用具には、振ると音が鳴るガラガラや積木・ミニカーといった、乳幼児になじみのある材料が使われています。
このような検査用具を使うことで、子どもの自然な行動が観察しやすくなっています。
検査者は検査結果だけでなく、言語反応、感情、動作、情緒などの反応も記録しており、総合的に判断します。
実際の検査の様子
積み木・コップなどの材料を使用。
先生と同じように「積み木を積み上げて」や、手本を見せて「マネして」というような、指示型の内容がありました。
絵カードを使った言葉の指差し、線や円を描くなども。
年齢が小さい内は、離席したり、話を聞けなかったり、検査するどころではありません。
ですが、検査者の上手な誘導があったり、そういった行動も含めて検査したりするので、気にする必要はありません。
発達指数と考え方
新版K式検査では、発達指数(DQ)で評価されます。
「発達年齢(発達の状態がどのくらいの年齢に相当するか)」を「生活年齢(実年齢)」で割り、100を掛けて算出します。
発達指数=発達年齢÷実年齢×100
数字表記されると、つい数字にとらわれがちになります。
数字は判断材料のひとつと、考えてください。
平均を「100」とします。
平均値が「90~110」
平均より高いが「110~」
平均より低いが「80~90」
境界が「70~80」
低いが「70以下」
▲この数値の定義も実際より少し大まかに書いています。
参考資料:「どさんこドクターサーチ」
「数値は判断材料のひとつ」といいましたが、正直、「気になる」が親の本音です。
初めての結果は、ショックを隠しきれませんでした。
我が家は「言語・社会」が特に遅れており、全体的な支援が必要との結果でした。
▼3領域の詳しい内容と、有効的なトレーニング法を紹介します。
「姿勢・運動」(P-M)・有効的な遊びやトレーニング
「年齢に沿った身体の動きができるか」を判断します。
歩行や片足立ち、跳ぶなどの成長に応じてできる運動のことです。
就学前検診の問診票に「片足で〇秒以上立てる」などの項目がありますね。
このように年齢に応じてできる運動などを調べます。
この動きがニガテであると、「不器用」となります。
「姿勢・運動」に効果的な遊びは、
- リズム遊び
- ジャングルジム遊び
- ボール遊びなど
▼参考記事:こちらでも「不器用」に有効な遊びを取り上げています。
小学校の入学準備|手先が不器用な子ども向け「克服対策とおすすめの学用品」
有効的なトレーニングは「作業認知トレーニング」や「感覚統合」です。
①コグトレ「作業認知トレーニング」とは
「不器用=身体の使い方が分からない」なので、力加減を知る、道具をコントロールして使うなどを段階的にトレーニングする方法です。
出典:一般社団法人日本COG-TR学会
②「感覚統合」とは
五感に加えて、2つの感覚(固有受容感覚・前庭感覚)を整理したりまとめたりする脳機能を指します。
- 五感とは「触覚・視覚・聴覚・味覚・嗅覚」のこと。
- 固有受容感覚とは「手足の状態・筋肉の伸縮・関節の動き」、前庭感覚とは「身体の動きや傾き・スピードの感覚など」です。
不器用な子どもはこの「感覚統合」が交通渋滞を起こしていると言えます。
なので、▼下記のように発達段階に応じた「感覚統合」のトレーニングが必要です。
▼おすすめ「感覚統合」の本:年齢が幼児向き。
こちらは「感覚統合とは何」「気になる行動の読み取り方」「具体的なトレーニングについて」書かれており、分かりやすいです。
「認知・適応」(C-A)と有効的な遊びやトレーニング
「認知」とは”外の世界をどう認識しているか”ということ。
「適応」とは”認識したことを自分にどう対応できるのか”。
子どもは他の人からの「見よう見まね」やイラスト・文字などの情報から、自分でできることを増やしていきます。
この「何が」どれくらいできるようになっているかを見る、ということになります。
゛見本と同じように積み木を積み上げる″、゛円や線が書ける″などが認知や適応に当たります。
「認知・適応」に効果的な遊びは、
- 積み木
- 折り紙
- ビーズ遊び
- 絵を描くなど
実際に親がやって見せながらすると、子どもは挑戦しやすいですね。
効果的なトレーニングは、「コグトレ」「ビジョントレーニング」。
①コグトレとは「認知〇〇トレーニング」の略称。
点線つなぎなどのように、机上でできるトレーニングは「認知機能強化トレーニング」のこと。
認知機能強化トレーニングは学習の土台となり、「覚える」「数える」「写す」「見つける」「想像する」の5つの分野を強化します。
▼おすすめ本:対象年齢3歳から。
ほとんどの書籍は「年長さんの5歳児から、小学生向け」がほどんどです。
こちらは幼児向けのコグトレで、問題もやさしく作られています。
②ビジョントレーニングとは、目で見るチカラ「視覚機能」を高めるためのトレーニングのこと。
「認知」が弱い理由のひとつが「視覚機能」が弱いといえます。
ものを書き写すことが難しい、同じ文章を何度でも読んでしまうなどは、このトレーニングをすることで、改善する可能性があります。
また、「動体視力」「瞬間視」などのように、スポーツのトレーニングとしても取り入れられています。
家庭で簡単にできるものは、゛ミニカーを動かして子どもに目で追わせる″などのようなトレーニング方法があります。
こういった具体的な方法やトレーニングシート付の本が「発達の気になる子の 学習・運動が楽しくなる ビジョントレーニング (発達障害を考える・心をつなぐ)」です。
こちらは我が家も、通っている小学校でも購入して、試しています。
幼児よりも児童向けの内容が多いですが、それでも十分使用できます。
「言語・社会」(L-S)と有効的な遊びやトレーニング
言語とは「言葉の力」のこと。
・どれくらい言葉を使えるか
・どのくらい言葉を覚えられるか
ということ。
社会の意味は
・どのぐらい常識が身についているか
・論理的に説明できるか
ということ。
具体的には
- ある場面の絵を見て、状況や様子をどれくらい説明できるか
- 言葉をどれくらい知っているか
- 言葉の意味を説明できるか
- 言葉の違いを言えるか
- どれぐらい数を覚えているか
などを調べます。
有効的な遊びは
- しりとり
- 連想ゲーム
- 色探しゲームなど
有効的なトレーニングでは、
①ものの名前や反対言葉などの語彙力を増やすこと。
カードを使った訓練はよくありますね。
フラッシュカードや100均のカードなども有効です。
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モンテッソーリの「マッチングカード」も、幼児が言葉を覚えるのに役に立ちます。
専用教材もありますが、こちらは手軽にできる方法を紹介します。
100均のカードとフィギュアやおままごとの道具などを使います。
下の写真のように、カードの上に同じものを置くように子どもに伝えます。
「バナナはどれ?」「いちごはどれ?」というように、言葉と物を認知するチカラを養うことができます。出来れば、本物に近いものがよいのですが、ここは「手軽に出来る」を重視しました。
本来は動物や海の生き物といったフィギュアを使ったものが主ですが、我が家流にアレンジしてみました。
②ものごとや出来事の理由を言わせる。
例えば、「おまわりさんはどんなことをする仕事ですか?」
スプーンやフォークを指して、「これは何のための道具ですか?」などの質問をすることです。
何気に使っているものや目にしているものを「言葉で」説明をすることは、とても難しいです。
子どもがなかなかできなくても、「ヒントを与える」などして答えを導ける手助けをしてあげましょう。
③ソーシャルスキルトレーニング
ソーシャルスキルトレーニングとは「社会で、″人と人とが関わりながら生きていくために欠かせないスキル”を身につける訓練」のこと。
発達障害を持つ子どもの中には、社会性に乏しいや人とのコミュニケーションが苦手とする子が多いです。
これらを自然に身につけるのが難しいので、継続的に教えていく必要があります。
イラストを使って「公園で遊んでいるときに、ブランコを待っている子がいるよ」など、子どもの想像しやすい場面で、社会性やマナーを教えていきます。
実際に体験するがよいのですが、小さいうちは「できない」ことが多いので、無理してお出かけをしなくてもよいでしょう。
おすすめカード
カードは手軽に持ち運べる、幼児も扱やすいという特徴があります。
▲こちらの「コミュニケーション」カードは、「どんな気持ち?」と言葉をうまく伝えられない子どもが自分の気持ちを伝えるのにも、役に立ちます。
まとめ
検査の内容から重要なのは、「こどもにとって、どんな支援が必要か?」を理解することです。
臨床心理士や療育の専門家に「具体的にどうしたらよいか」のアドバイスを求めてみましょう。
子どもが小さいと育てるだけで精一杯。そんな余裕はないかもしれません。
療育機関で有効的なトレーニングを取り入れてもらい、家庭では”遊びから取りいれる”とスムーズにできるかもしれません。
ぜひ、参考にしてみてください。
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