知っておきたい!障がいをもった子どもの『将来の備え』

悩み

障がいをもつ子どもや保護者は人生において、多くの選択をする場面があります。

例えば、小学校の「支援学校」・「支援級」や「通常級」などの選択。
子どもの意思は当然ですが、中学校や高校へ進級するときも常に子どもにとってよい選択を考えないといけません。

そして、最終的には子どもが「自立」できるためにどうしたらよいか、が大きな課題となっています。

自立のために、親や子どもが必要な備えは以下のとおりです。

①進学や就職の選択肢・社会福祉制度を知ること
②今後の見通しを立てること
③お金の準備をすること

子どもに合った環境やどのように自立できるかを具体的に考えていきます。

将来の備え①進学や就職の選択肢・社会福祉制度を知ること

選択肢とは中学卒業後の『進学』と『仕事』において、どんな種類があるかということです。

「進学=大学や専門学校へ進む、就職=専門職や一般企業で仕事をする」が一連の流れになっています。

義務教育である中学までは「支援級」や「支援学校」などの選択肢があり、サポート体制も整っていることが多いです。

しかし、その先の高校においては発達障害への「サポート」体制はさまざまです。

最近では公立高等学校(全日制)において、通級指導などを行うところが増えてきていますが、希望校に設置しているとは限りません。

また、子どものスキルや特性に合えば、専門職に特化した「高専」や「高等専修学校」などもよいのですが、特別なサポート体制はありません。

ですが、「サポート校+通信制高校」ならば、個人の特性への配慮があり、自分のペースで学べます。
今は、こういった通信制の高校が増え、障がいのある子どもの進学への選択肢が広がっています。

高校の選択肢

特徴サポートの有無金額/年間
全日制 公立/私立通常、朝に通学。3年制公立高校では
特別支援教室や通級指導を
導入するところが増えている
公立:約46万円
私立:97万円
定時制 公立/私立多くは夕方から夜に授業。
卒業は基本的に4~3年。
特別な支援はない公立:約3万円
私立:約3万円
通信制 公立/私立通学以外にパソコン通信で
授業を行う
自分のライフスタイルで
学習できるメリットがある。
個人のペースに合わせた
学習スタイル、個性を生かした教育など
合理的配慮などがある
公立:4~6万円
私立:25万円~
サポート校通信制高校と連携して
、勉強や精神面を支援する役割。
通常、通信制高校と同時入学になる。
予備校や塾などのような役割のため、
単独で卒業しても高卒資格は取得できない。
個人にあわせたサポートが受けられる50~100万円
(サポート校
+通信制高校)
高等専門学校5年制の教育機関。主に工学・技術・商船などの専門教育を行い、技術者育成を目的としている
国立・公立・私立とある
特別な配慮はないが、
子どもの好きな分野であれば、
職業へ活かせることができる
国立:約23.5万円
私立:約80万円
高等専修学校職業に重点を置いた教育を行う学校。
工学や農業・医療・衛生・服飾など
8つの分野がある
特別な配慮はないが、
子どもの好きな分野であれば、
職業へ活かせることができる
60万~100万円と大幅あり
特別支援学校高等部障害や病気を抱えた子供が自立を図るための
知識や技能を習得する目的。
高卒資格は取得できない。
卒業後は就労移行支援事業所への紹介もある
自立を目指した技能習得など
手厚い支援が受けられる
都道府県によって異なる
授業料はほぼ0円
全日制の公立高校同等金額を想定
フリースクール学校の代わりに子ども過ごす場所。
就学支援制度は使えず、すべて自己負担
高卒などの資格取得はできない
プロによるカウンセリングやサポートが受けられる40~50万円

※参考:文部科学省平成30年度子どもの学費調査の結果について



例えば通信制の高校であれば、通学や在宅を選択できますし、ある程度は自分のペースで勉強をすることができます

しかし、裏を返せば、子どもの自己管理や自主性が必要です。

その点サポート校と通信高校を一緒に選択すれば、サポートが受けられますが、費用は高くなります。

このようにそれぞれの特徴を参考にして、どの選択肢がよいか考えていきましょう。


今は中学1年生で進路について考える機会があるので、子どもと一緒に高校見学をしたり、将来の仕事について話してみたりするとよいでしょう。

(注)上記は1年間にかかる授業料の平均です。入学金や教科書代、受験費などの諸費は含みませんので、実際はもっとかかります。

少しでも高校進学の負担を軽くする制度があります。高校の種類に関わらず、授業料などを実質無料にすることも可能です。

高等学校等就学支援金制度
高等学校の授業料や学費を国が一部負担する制度。学校へ申請。
年収の上限あるなど受給対象の条件あり。
全日制やサポート校など高校の種類や世帯年収によって給付金が異なる。

高等学校等奨学給付金
私立高校に通う生徒の保護者の経済的負担を軽減するため、都道府県や国が授業料以外の教育に必要な経費を一部助成してくれる制度。
該当条件があり、給付金額も決まっています。

他にも都道府県によって所得の低い世帯には支援金が増額されるなどの制度があるので確認しましょう。

発達障害のある大学卒業者の進路

高校卒業後の進路については「就職」や「進学」の選択肢があり、全体の70%以上(出典:文部科学省 | 平成30年度学校基本調査(確定値)の公表について)が進学を選択しています。

また、いわゆる大企業への就職や公務員などの資格を持った職業を目指す場合は、大学や専門学校への進学が必要です。

ですから、自然と高校卒業後は「進学」が選択肢となることが多いでしょう。

ですが、進学(大学)をすれば何か仕事に就けるとも限らないのです。

参考「LITALICO」

こちらは発達障害(医師が診断がある)のある大卒者と通常の大卒者の進路について比較しています。
発達障害のある大卒者の就職率が45%。全大学卒業者の78%に対して低い就職率です。

こちらのデーターは前年と比べてもあまり変わりはありません。

このデーターから「大学を卒業しても就職できるとは限らない」という現実があるのです。

障がいをもつ人の仕事の選択肢

では、社会に出た時の「障がいをもつ人」の就職にはどんな選択肢があるのか?
次のようになっています。

【一般就労】
①一般雇用
②一般企業の障がい者雇用

【福祉的就労】
③就労継続支援A型
④就労継続支援B型

・障がいをもつ人の就労支援として⑤『就労移行支援』サービスがある

就労移行支援とは一般企業への就職を目指す障がいをもつ方を対象に、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートを行います。

引用元『LITALICO』

就労支援は就職した後も企業と雇用者が継続して働けるよう、架け橋のような役割もしています。
利用する際は手帳は必要ありませんが、市役所で利用手続きをしましょう。

以下は就労の種類と内容・月の平均賃金を示しています。

就労の種類内容平均賃金・月額(データ年度)
一般雇用企業などへの正規・非正規を含めた雇用形態正規雇用者:32.5万円
非正規雇用者:21.1万円
いずれとも平成30年度
一般企業の障がい者雇用企業就職の障がい者採用のこと
障害者手帳が必要
労働条件や時間などに配慮がある
発達障害者:12.7万円
身体障害者:21.5万円
知的障害者:11.7万円
精神障害者:12.5万円
いずれとも平成30年度
就労継続支援A型企業などで働くことが困難な障害のある方へ、
就労の機会を提供する場であり、雇用契約を結ぶ
79,625円(令和2)
就労継続支援B型企業などで働くことが困難な障害のある方へ、
就労の機会を提供する場であり、
雇用契約を結ばない
15,776円(令和2)


②の障がい者雇者雇用の場合は時間的配慮があるために、通常の企業雇用よりも低い賃金となっています。

また、就労継続支援所は福祉事業であること、短時間労働や軽作業といった内容から上記のような賃金です。

いずれにしても福祉事業所での就労はもちろん、企業の障害者雇用においても「一人暮らし」できるほどの十分な賃金はもらえません。

これらの現状から、多くの方は「社会福祉制度」を利用しています。

社会福祉制度

福祉制度とは一定の障害があることや社会生活に困難を抱える方のための制度です。
障害年金は3ヵ月まとめて支給されますが、月額数万円ほどになります。

【手帳制度】

療育手帳
知的障害がある方が申請できる手帳で、税金の軽減などの生活面や障害者求人に応募できるなどの就職面などで支援をうけることができる。

精神障害者保健福祉手帳
障害疾患のある方が申請できる手帳で、医療費の助成や税金の減税などさまざまな支援をうけることができる。

【障害年金】

障害基礎年金
一定の障害があり、社会生活が困難などの方に支給される。
等級や扶養有無などにより、給付金が異なる。

障害厚生年金
一定の保険料給付要件を満たしている方、厚生年金保険の被保険者が対象。
等級により給付額が異なる。

手続きや対象者については各市役所に確認をしてください。

申請には福祉手帳取得や年金給付を受ける場合は医師の診断書が必要ですが、申請すれば必ず受け取れるものではありません。

もし、こういった社会福祉制度の給付金や福祉サービスを利用しても、企業雇用の正規・非正規雇用者と同等の金額を受け取ることは難しいです。

将来の備え②今後の見通しを立てる

以上のような仕事の選択肢や収入面などを考慮して、これから「どう自立を目指すか」を計画しないといけません。

大切なポイント
①子どものやりたいこと・目指したいことは何か?
②進路の選択
③生活スタイルの選択

①子どものやりたいこと・目指したいことは何か?

まずは子どもの特性・スキルが何かを知りましょう。

どんな小さなことでもよいです。
「周りよりも絵を描くのが上手」「こういったこだわりがある」から、好きな事や集中して続けられることなどを思いつく限り、書きだしてみてください。

例えば「こだわり」も裏を返せばスキルになります。

・手順にこだわる=マニュアル通りにすすめられ、同じものを同じ品質で作ることに長けている

・好きなものに関しては徹底的に調べる=モノの市場調査が得意で、仕入れや分析に適している

同時に苦手なこと=苦痛になることも書きだします。
苦手=回避できるまたは、支援を受けられる環境があるのか
得意なこと=伸ばすべき才能や好きなことは何なのか

これを明確にすることで、進路や仕事の選択肢が見えてきます。

②進路の選択

中学卒業後はさまざまな選択肢があります。⇒「高校の選択肢」を参考に

進学からの就職をイメージすると、目指すべき進路もおのずとわかるでしょう。

パンフレットやホームページだけでなく、子どもがイメージしやすいように学校に足を運んだり、通学したりしてみましょう。

③生活スタイルの選択

自立を目指すうえで仕事と合わせて、生活スタイルの選択も重要です。

生活スタイルとは「一人暮らし」「実家暮らし」などの『どこでどのように暮らしたいか』になります。

主に以下のような選択肢があります。

  1. 障害者支援施設…生活や身体の支援などの福祉サービスを行う施設。
    1割負担だが、食費や光熱費は別。
  2. グループホーム…少人数で共同生活を行う住まいの場。平均相場は15~20万円
  3. 実家暮らし(+障害福祉サービス)
  4. 一人暮らし(+障害福祉サービス)

障害福祉サービス
障害者自立支援サービス。例えばホームヘルパーやデイサービス、食事や入浴の生活支援や自立支援などがあります。

サポートが手厚い順に1.障害者支援施設となり、4.一人暮らしになると本人の自活できるチカラと周りのサポートが必要です。

また、手厚いサポートがある分費用も高くなるため、本人の収入と支出のバランスを考えないといけません。

将来の備え③お金の準備をすること

最も大切な部分「お金」の問題があります。

①教育資金
②子どもが自立した時の収入と支出
③親の老後と子どもへ遺すお金

①教育資金

教育資金は選択する進路により準備する金額が違います。

高校はどの学校を選択する?⇒「高校の選択肢」で金額を確認
大学や短大や専門学校への進学は?
学校は家から通う?一人暮らしをする?

これらを考えることにより詳細な金額を算出します。

②子どもが自立した時の収入や支出

子どもが社会に出たときに

「どんな仕事に就く?」
「収入はどれくらい?」
「住まいはどうする?」
以上のような疑問があります。

「収入より支出が大きい」であれば、子どもへのサポートが必要です。

③親の老後と子どもへ遺すお金

子どもの自立の心配もありますが、親自身の老後の生活も考えないといけません。

親の老後と自分たちが亡くなった後のこと。

以上の3つのお金の問題のために、お金を「貯める」「増やす」「備える(保険など)」を考えましょう。

子どもに必要なチカラは稼ぐチカラ

障害のある子どもの将来が必ずしもサポートを受けた働き方や生活になるとは限りません。

しかし、福祉サービスやサポートある生活や働き方はどうしても「収入」=「お金」の問題があります。
はっきり言えば、自分の収入だけで暮らしていくには不可能な金額です。

それを親のお金や福祉制度などをセットにした「自立」の考え方はどうなのだろう?と感じます。

アインシュタインのようなズバ抜けた才能がなくても、お金に困らないくらい稼ぐチカラこそ教える必要があるのではないでしょうか。
もちろん、そのためには「どんな働き方があるのか」「具体的な方法とは」という知識が要ります。

今はネットやスマホの普及でいろいろな可能性が広がりました。

例えば、フリマアプリを使って年間数十万稼ぐ人もいます。
Webライターでフリーランスとして働いている人もいます。

周りを見渡すと少数でしょうが、会社員以外の働き方がある、何か可能性を感じる働き方のように思えます。

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